« ニーナ、おめでとう!!&マラーホフの贈り物演目変更 | トップページ | またまたマラーホフの贈り物変更 »

2006/02/24

東京バレエ団「眠れる森の美女」鑑賞(長文)

20060222215156
★2006年2月18日(土)15:00開演 東京文化会館大ホール3階センター席にて鑑賞

オーロラ姫:吉岡美佳
デジレ王子:ウラジーミル・マラーホフ
リラの精:上野水香
カラボス:芝岡紀斗
フロレスタン国王:重石太志
王妃:坂井直子
カタラビュット/式典長:野辺誠治

妖精キャンディード(純真の精):大島由賀子
妖精クーラント《小麦粉》(活力の精):乾友子
パンくずの精(寛大の精):高木綾
カナリアの精(雄弁の精):高村順子
妖精ビオラント(熱情の精):田中結子
妖精のお付きの騎士:大嶋正樹、古川和則、中島周、長瀬直義、宮本祐宣、横内国弘

オーロラ姫の友人:西村真由美、奈良春夏、前川美智子、吉川留衣
            加藤文、森志織、福田ゆかり、村上美香
4人の王子:高岸直樹、木村和夫、長瀬直義、平野玲

ルビー:長谷川智佳子
エメラルド:門西雅美
サファイア:佐伯知香
ダイヤモンド:西村真由美

シンデレラとフォーチュン王子:井脇幸江、木村和夫
フロリナ姫と青い鳥:小出領子、古川和則
牡猫と子猫:前川美智子、平野玲
赤ずきん:加藤文

演出・振付:ウラジーミル・マラーホフ

マラーホフ版「眠り」の日本初演です。
幕が上がると、全体にピンクと丸のイメージで、バラの植え込みを模した大きな球形が7つも配されていました。
椅子もテーブルも円形でした。通常の眠りの舞台ではプロローグはたいがいお城の大広間(室内)なのですが、ここでは庭園(屋外)なのですね。
貴族達は、マンガの世界から出てきたようなピンクや紫を基調にした衣装を着ていました。特に王、王妃、カタラビュットは、ピンク色のカツラで(王様なんて、てっぺんまで生え際が後退してるピンクのカツラ)衣装も、よりコメディー色が強く、王様は、絶対「~でおじゃる」とか言いそうでした。「アホアホ王?」というのが最初の感想でした。
ベビーオーロラは、キューピーみたいな人形の顔が丸出しで(もう少し隠しても良いのでは^^;)庭園の隅に置かれた丸い台に無造作に寝かされていました。うーん、待ち望んでやっと生まれた姫君なんだから、屋外とは言え、もう少し豪華なベビーベッドでも用意してあげた方が良かったのではないかなぁ。
妖精達は、セットの球形の植え込みの中に隠れており、球形が半回転するたびに1人ずつ登場すると言うしかけでした。衣装は紫を基調にした派手めなブラウスにチュチュをくっつけたようで(チュチュでなくロングスカートだったらちょっと前の貴婦人みたい)色合いのせいもあるのか、やや重そうに見えてしまいました。

リラの精の水香さんは、さすがにそんな衣装でも見栄えがして、踊りも軸がしっかりとして、ピルエットクルクル、アン・ドゥオールもアン・ドゥダンもドンと来い状態でした。妖精たち全員で踊る場面、全員で脚をあげる箇所など、一番足の甲がしなり、足の裏も引きあがっているので、ついつい目が行ってしまいます。マイムも優しげで良かったです。ただ、私の好みとして演技にもう少し母性のようなものが欲しかったかもしれません。頼りになるお姉さん妖精ではあったのですが…。
妖精たちの踊りは、可もなく不可もなくと言った感じでしょうか。私は普段でもそれほど、この妖精たちの踊りが好きと言うわけではないので、あまり気合をいれて見ていなかったかもしれません。
あ、でもお付きの騎士たちの踊りは良かったです。大嶋さんや古川さんなど、ベテランがさすがの踊りをみせてくれていました。
カラボスも7つめの球形から登場しました。カラボス役の芝岡さんは、恐かったです(^^;) バリバリ悪の精だったと思うのですが、私としては、もう少しベターッとしたいやらしさやオバチャンぽさが欲しかったかも知れません。単に私の好みなのですが。そして井脇さんの姐御カラボスがちょっと恋しくなってしまいました(´Д`)

マラーホフ版眠りは、糸巻きの針で刺されて死ぬという呪いを掛けられるわけではないのですね。代わりにバラの棘で刺されて死ぬと言う呪いをカラボスはかけます。(もちろん、リラが死ぬを眠るに修正するのですが)
通常の眠りでは、その後、王様が針を使うことを今後一切禁ずるというおふれを出したりするのですが、このアホアホ王は、バラ禁止令など出すこともなく(針より難しいですけど)オーロラが成長した1幕になっても、相変わらず庭園にはバラが咲き乱れています。のん気な王様で何よりです(^o^;) でもそれを言ったらローズ・アダージョは成立しないので、触れてはならないことなのですね、きっと。

この版には、プロローグと1幕の間のつなぎとして、子供時代のオーロラが手毬で遊んでいるシーンが挿入されています。そこへ、カラボスがバラを持って近づくと、すかさず、リラが飛び出してきてカラボスを追い返していました。
このシーンはなかなか良いですね。リラの水香さんがとても頼もしくみえました。

そして、1幕。カラボスの呪いなど知ったこっちゃないバラの咲き乱れる庭園で、これまたバラのようなオレンジや赤を基調とした衣装を身につけた者たちが花のワルツを踊ります。ここでは良く見られる花のアーチは持っていません。花かごくらいは持っていたような気がしますが、あまり記憶が定かではありません。そして、ラストに自分達が大きなバラの大輪の形になっていました。上から見ていたので、とても綺麗でした。

4人の王子は、パフスリーブのような大きな袖の衣装とベレー帽。この王子達は、何とか着こなしていたようですが、間違ってしまうとバカ画伯になってしまいそうです。本当に、このマラーホフ版は着る者を選びますね。
特に木村さんや高岸さんは、さすがのプリンシパル。やっぱり凛々しかったです。
そして、オーロラの登場!白地にオレンジ色の大きな花の刺繍のチュチュに身を包んだ吉岡さんは、本当に初々しく可憐なオーロラ姫でした。これだけ、毒々しい色の衣装達の中で1人だけいい意味で浮いていたように思います。オレンジという色も若く見せていた要因だったかもしれません。とにかく、アホアホ夫妻から生まれたとは思えないような姫君でした(^_^;)

吉岡さんは、男性に腰を支えてもらうピルエットは、あまり自分で回れていなかったように見えたのですが、ローズ・アダージョのアチチュード・バランスなどは、ピクリともしないバランスがとても素晴らしかったです。ラストのバランスでは、最後の高岸王子を素っ飛ばして、そのままアラベスクに持っていこうとタイミングを計っていたようなのですが結局タイミングが合わずに高岸さんにつかまりそのままプロムナード。その分、音楽が残り少なくなってしまい、決めのポーズに間に合いそうもなかったのですが、そこは、勝手知ったるソトニコフ。上手く音を引き伸ばしてくれてラストはバッチリ決まっていました。

そこへバラの花束を持ってカラボス登場。垂衣をつけた市女笠(いちめがさっていうんですね、平安・鎌倉くらいに上流階級の女性が外出時に被った笠)あるいは、エチゼンクラゲみたいな帽子を被っているのが異様だけどカラボスだから、まあいっか。
バラの棘に刺されてオーロラが倒れると、リラ&妖精たち登場。「大丈夫、眠っているだけよ」と。子供時代は、カラボスに襲われるのをことごとく未然に防いできたくせに、肝心な時に…。それとも、あれは、守っていたのではなく「ちょっとー、呪いの発動は16歳でしょ?慌てないでよ!」なんて言ってたのでしょうか。
三日月形のベッドが運ばれてきて、そこに横たえられるオーロラ。王や王妃以下貴族達は、悲しみつつその場を退場。通常は、担がれたオーロラが退場し、王様や王妃、貴族達は舞台上でリラに眠らされるのですが、この日は舞台中央に三日月ベッドがポツリと置かれ、上から檻(?)が下りてきて、オーロラをガッチリガードして幕でした。

2幕、おもむろにマラーホフ王子がジュテで登場しました。お供など1人も連れず、狩りの場面など完全排除です。うーん、何で王子様が1人でこんな場所へ?なんて疑問に思ってはダメですね(^^;) 衣装は、赤系の刺繍の入った上着。その下はぜーんぶ紫でした。うーん、マラーホフだから許される衣装かも(^^;) もちろん似合っていました。
ここにも、プロローグの妖精たちが、例のエチゼンクラゲを被って登場。王子をからかうように踊っていました。カラボスはともかく、妖精たちのエチゼンクラゲはちょっと変?な感じでした。マラーホフ版では、妖精のコール・ドは一切登場せず、代わりにリラと妖精たちが全幕に登場し、コール・ドの代わりに踊ってくれました。
ここでは、オーロラの幻影とマラーホフがたっぷり踊ってくれるのでとても嬉しかったです。マラーホフの着地音は相変わらず静かでした。たまーに聞こえてしまう着地音も「ストン」という程度でした。さすがに、ジャンプの高さなどは衰えを感じてしまいましたが、物腰の優雅さは、王子そのもの。素晴らしかったです。

オーロラへの愛を確信した王子は、舟などに乗ったりせず、リラのあとについて行き、城に到着します。 
オーロラの檻の周りにたむろしているカラボスと手下達。マラーホフ王子は、無粋に剣など抜いたりしません。リラがカラボスと戦ってくれている間に、とっとと、オーロラにキスをして、呪いを解いてしまいます。
リラの精を盾にしているマラーホフがお茶目でした(^ヘ^;)

ここから一気に結婚式へ。この辺りは東京バレエ団バージョンの眠りの展開と似ていました。
最初は、宝石たちが登場。通常は、金・銀・ダイヤモンド・サファイヤですが、マラーホフ版はダイヤモンド・サファイヤ・ルビー・エメラルドでした。衣装は上が原色のチャイナドレスのようで下がチュチュ。メイクは隈取のように派手で頭には扇子のようなものが刺さっていました。
牡猫と子猫も、通常より衣装がユニークで、特に子猫(白猫)はチュチュでなく白いユニタードでした。そして2人とも虎の毛皮のコートを羽織っていました。仲の良さそうな踊りでとても良かったです。でも、牡猫と子猫って…ロ、ロリ?
赤ずきんは、たった一人で肩に狼の毛皮をまとって登場。踊りはなく、舞台上をウロウロ、キョロキョロ。そして、まとった毛皮に気づいて「そうそう、狼はこの通り、もう死んじゃったんだわ、キャハ♪」という風に見えて、かなりブラックを感じてしまいました(^^;)

シンデレラとフォーチュン王子のパ・ド・ドゥは、今まで見たことがなかったので楽しみにしていました。シンデレラの井脇さんがキョロキョロ王子を探していると、木村王子がやってきて、トウシューズをすばやく履かせてくれるシーン、良かったです。振付は、全体的におとなしめだったように思いますが、普段クールな役の多い井脇さんがシンデレラというだけで、何となく嬉しく見てしまいました(^o^) ピンクのドレスもお似合いでした。木村さんも王子がとても板についていました。

フロリナと青い鳥も、通常とは違う衣装で、黄色いフロリナは初めて見たかも知れません。フロリナの頭にはカナリアが一羽乗っていました。青い鳥は、最初狼かと思ったくらい衣装やメイクがどぎつくてちょっと鳥のイメージではなかったと思います。
それでも、踊りはとても良かったです。小出さんのフロリナって可憐でとても好きです。古川さんもメイクなどはイメージでなかったものの、踊りや軽やかで良かったと思います。

そしていよいよ、オーロラと王子のグラン・パ・ド・ドゥ。2人とも水色をベースにした衣装にチェンジしていました。
2人の息がぴったりあって、とても素晴らしいパ・ド・ドゥでした。3回の連続フィッシュダイブもピタリと決まっていました。
ラストは、いつもの眠りのように大団円で終わろうとしたところで、突然音楽がピタリとやみ、照明も落ちてしまったのでドッキリしてしまいました。気が付くとスポットライトの中にカラボスがいて、高笑いのような表情を浮かべています。あわやという時、リラの精が現れ、カラボスを追い払い、再び舞台は明るくなり音楽も鳴り響き、本当にフィナーレを迎えます。この演出は、どういう意味なのでしょう。「悪は滅びることはないのよ、オホホ」ってこと?でもまあ、「ああ、もう終わりか~」というダれた気持ちを一瞬引き締めてくれる、びっくり水のような役割はしてくれていたと思います(^∇^A;

とっても突っ込みどころが多かったので、ものすごく長文になってしまいました。
全体的な印象としては、決して悪くはなかったです。ちょっと衣装などのデザインがうるさく感じてしまうところもありましたが、あまーいデザートのような舞台でした。
とてもとても甘いので、しょっちゅうは食べられませんが、たまになら食べてもいいかも知れません。

|

« ニーナ、おめでとう!!&マラーホフの贈り物演目変更 | トップページ | またまたマラーホフの贈り物変更 »

「バレエ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/86040/8748181

この記事へのトラックバック一覧です: 東京バレエ団「眠れる森の美女」鑑賞(長文):

« ニーナ、おめでとう!!&マラーホフの贈り物演目変更 | トップページ | またまたマラーホフの贈り物変更 »